突然の呼び出し
それはぼんやりと記憶に残っているような、嫌な予感を感じさせる番号でした。ありふれた土曜日の昼、携帯電話にかかってきた電話に出ると、聞いたことのない男の声。ある組織からの電話でした。

また血が流れることになる…。
そんな思いがすぐ頭に浮かびました。


私は20代の頃、ふとしたきっかけでその組織と関係を持ちました。それ以来、1年に数回組織の事務所に出向き、あることに関わってきました。私から自主的に出向くこともあれば、組織から呼び出されることもありました。組織からの呼び出しは大抵はメールで、強制されるようなことはなかったと思います。

プライベートで使っている携帯電話で呼び出されるのは、今回が初めてです。血気盛んだった20代はともかく、40代も半ばを過ぎた今、組織から直々の指名がかかるとは思いもしませんでした。

電話の相手に次の日曜日に事務所を訪ねる事を伝え、私は電話を切りました。

組織はまだ私を必要としている。

この私の血を。




組織の事務所
日曜日の朝、家族にも告げずそっと家を出て、市内のJRの駅から徒歩で2分ほどの場所にある組織の事務所に向かいました。昔から組織の本人確認は厳重でしたが、今はさらにチェックが厳しくなり、機械による指紋認証になっていました。

本人に間違いないことが分かると、初めて入室が許されます。ここで携帯電話をはじめとした荷物をすべて預けなくてはなりません。外部との連絡を絶つ事が目的なのでしょう。ここまでくると、小心な私も覚悟を決めざるを得ません。

ふと家に残してきた子供の顔が浮かびました。

受付にいた女性が、何か飲み物を飲むかと尋ねてきました。愛想のよい笑顔ですが、私には目が笑っていないように見えます。一杯のドリンクで緊張が解けるとは到底思えませんでしたが、半ばやけくそでドリンクを飲み干しました。

さあ、いつでもやってやる。

心の中でつぶやきましたが、足がわずかに震えました。

入室の時つけられた番号で呼ばれ、部屋に入ります。記憶にあるより内部は明るく、無機質な機械音が絶え間なく聞こえてきます。部屋のほぼ中央にある電動の大きな椅子に座るよう促されました。

何百人、何千人がこの椅子の上で血を流したことでしょう。

いや、この期に及んではそんなことを考えても仕方がありません。私もその何千人の中の一人になる。それだけです。




流した血の代償
時間の感覚がはっきりしませんでしたが、時計を見るとわずか5分ほどのことでした。この速さは、組織の人間にも毎回驚かれます。

「お前は重宝な奴だ。また自分の意志でここに戻ってくることを期待している」

そのような意味の言葉をかけられ、流血の現場をあとにしました。

帰りがけに、組織から礼の品を渡されました。その品々がこちら↓







芳香剤?
血の代償3
ドリンクセット?
血の代償2
ちょっとレアかもしれない消しゴムとシャーペン
血の代償4

血の代償1

血の代償5
組織の会員証?
血の代償7


というわけで、久しぶりに献血に行ってきました。何でもこの頃雪が降ったり、インフルエンザが大流行した影響で、全国的に血液が不足したということでした。おまけに私の血液型が他よりも少ないAB型だったので、組織から直々に呼び出されたようです。

血の代償6

自分もいつどこで病気や怪我で輸血が必要になるかわかりません。

私がわずかな時間と手間を費やしたことで、知らない誰かの役に立つことが出来るならば、また惜しまず血を流しに行こうと思います。
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