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一度は「思う存分飲める!」と思った用水路を流れる水。
でも「キセイチュー」とやらは怖いし、用水路を横目に見ながら家に帰ることになりました。

日射しはますます強くなってきます。
小学生軍団はうなだれ、鉛のように重くなった足を引きずりながら歩き続けます。

市境の川にかかる橋を渡った時、遠くに民家が見えてきました。あの民家を過ぎれば友人Iの家もそう遠くありません。

しかし、もう限界でした。
長い人生、いや当時は6歳か7歳ですから今思えば長くはないのですが、
とにかくこれまで経験したことのない渇きに、一行は倒れる寸前でした。

歩くこと十数分、民家が近づいてきました。

「あそこで水もらうべ」

「おお、もうそれしかないべ・・・」

「でも誰もいないかも」

「とにかく行ってみんべえ」

いくつか並んでいる家の一軒のチャイムを鳴らすと、

「は~い」と女性の声が!

玄関の引き戸が開くと同時に皆で三和土になだれ込み、

「すいません、お水下さい!!!!!」
と叫びました。

女性は一瞬戸惑った表情を浮かべました。
それはそうでしょう、見ず知らずの泥んこになったガキどもが
いきなり家に入ってきて、「水をくれ」と息も絶え絶えに訴えるのですから。

それでも女性はちょっと微笑むと、
「お水ね。はいはい、ちょっと待っててね」
と家の奥に入っていきました。

しばらくすると、人数分のグラスをお盆にのせて女性が戻ってきました。
きれいなグラスには氷水が入っています。
グラスのまわりについた水滴がダイヤモンドのように美しく見えました。

(つづく)


藤沢市湘南台の鍼灸・指圧マッサージ 治療室そら
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